2025年5月13日、AppleはiPhone向けに「iOS 18.5」の正式版アップデートをリリースした。
今回のアップデートでは、新しいプライドハーモニー壁紙の追加をはじめ、iPhoneの機能強化、不具合修正、セキュリティアップデートなどが含まれいる。
iOS18シリーズももう後半。派手なアップデートはないが、安全性や細かなUI改善により、Appleの確固たる地位を盤石なものとする守りの改善を進めている印象。
一般ユーザー向けにその主な変更点をまとめて紹介する。
新機能・機能強化
プライドハーモニー壁紙が追加された

ロック画面に虹色の「プライドハーモニー」壁紙が新たに追加された。
毎年この時期に出るアニメーションに凝った壁紙。6月のプライド月間に合わせたデザインで、iPhoneの動きやロック/ロック解除に応じて色の配置がダイナミックに変化する壁紙のよう。
この壁紙はApple Watchのプライド文字盤とも連動しており、最新のwatchOSアップデートで利用可能になっている。
【キッズの悪夢】スクリーンタイム通知機能が強化された

子供が使用しているデバイスでスクリーンタイムのパスコードが使用されると(変更された場合などに)、親/保護者に通知が届くようになった。
これにより、子供によるスクリーンタイム設定の変更を保護者がすぐに把握できるようになる。
スクリーンタイムの本来の機能を果たせるようになり、親にとっては便利な機能になる。
一方で、スクリーンタイムのパスコードをこっそり入手して夜中までゲームができていた子どもにとっては、とんだク◯アプデとなったことだ。
俺の子供時代のゲームデバイスがDSやPSPでよかった。
Apple TVアプリで「iPhoneで購入」機能の拡充された

サードパーティー製デバイス上のApple TVアプリで映画や番組などのコンテンツを購入する際に、iPhoneを使って購入手続きを完了できる機能(「iPhoneで購入」)が利用可能になった。
これにより、対応するスマートテレビなどでApple TVアプリから作品をレンタル・購入する際、手元のiPhoneで支払いを行うことでスムーズにコンテンツを入手できる。
iPhone 13シリーズが衛星通信対応した
iPhone 13シリーズ(全モデル)で、通信事業者が提供する衛星通信サービスが新たに利用可能になった。
衛星経由の緊急SOSの発信は、日本では2024年から提供が開始されていた。この当時はiPhone14以降のモデルのみだったが、それに13シリーズの全てのiPhoneも加えられたということ。
これはAppleではなく、各通信キャリアの衛生通信サービスに繋がるもの。日本の場合、auのStarlink Directがある。
ちなみにこのau Starlink Directは、緊急SOSのためのサービスではなく、あくまで日常使いで衛星を介したimessageの送受信ができるというもの。LINEなどは使えない。

UIや操作性の変更
メールアプリのUIがちょっと改善された

メールアプリ内の右上にある三点リーダー(…)のメニューから直接「連絡先写真を表示」のオン/オフを切り替えられるようになった。
以前は、メール一覧に表示される送信者の連絡先写真を非表示にするには、「設定」アプリ内で操作する必要があったが、同じ操作をメールアプリ内完結ですぐにできるようになった。
ただ、自分のアイコンを設置している人や、メールアプリに相手のアイコンを表示したい人がどれぐらいいるのか謎なので、役立つのかは微妙。
背面タップが視覚的にわかりやすくなった
バナー通知が表示される

これまでの背面タップでは、タップの検出後にただ紐付けた動作が開始されるだけだったが、バナー表示により検出を視覚的に通知する機能が追加された。
ダブルタップとトリプルタップでとでそれぞれバナーのメッセージの内容も異なる。
いらねーよと思えばオフにできる
設定からオフにすることが可能。不要だと感じる人は次の手順でオフにしておくとよい。
背面タップのバナー表示をオフにする手順

設定>アクセシビリティ

身体機能と動作サポート>タッチ

背面タップ

バナー表示をオフ
バグ修正とパフォーマンス改善
絵文字の不具合が直った

iOS18.4で発生して少し話題になっていた、キーボードの変換に絵文字が表示されなくなる不具合。これが直された。
例えば、「わらい」と文字を入力すると絵文字の☺️や🤣などが表示されるのが正常なのだが、これが一切表示されないという現象が起きていた。
一部ではキーボードの学習歴を削除したり、再起動するなどして対応する方法が紹介されていたが、どちらも不便で多くのユーザーが困っていた問題だった。
Apple Vision Proアプリの不具合修正

Apple Vision Proをすでに持っている人にはよいニュース。
Apple Vision Pro関連のiPhoneアプリで、画面が真っ黒になることがある問題が修正されたとのこと。
33件ものセキュリティアップデート

iOS 18.5ではセキュリティ面のアップデートが重要なポイントだ。
Appleの公式発表によれば、CVEベースで33件もの脆弱性が本アップデートで修正されている。
修正され脆弱性には、次のようなものが含まれていてる。
- システムアプリの予期せぬ終了
- メモリ破損
- ネットワークトラフィックの傍受
- ロック画面の迂回
- FaceTime通話でミュートにしても音声が消えない不具合
- 認証なしにiCloud共有を有効にできてしまう問題
- 権限昇格や任意のコード実行が可能になる恐れ
悪用されると不正なアクセスや情報漏えいにつながり得る深刻な問題への対処がされており、重要なセキュリティ修正が多数含まれているため、できるだけ早めにアップデートを適用することが推奨される。
対応機種とアップデートの実行
対応デバイス

iOS 18.5がインストールできる対応機種は、基本的にiPhone XR/XS以降のモデル(2018年以降発売のiPhone)およびiPhone SE(第2世代・第3世代)となる。
たとえば、iPhone 11/12/13/14/15/16シリーズは含まれ、逆にそれ以前の古いモデル(iPhone X、8/8 Plusなど)はiOS 18自体が非対応。まだこのあたりの機種を使っている人は、そろそろ買い替えを検討しよう。
円安などの影響で、消耗品として捉えるとかなりの高級品となっているiPhoneだが、短期で買い換える運用サイクルに乗せることで、長期的な負担を軽減しつつ、常に最新のiPhoneを使い続けることができる。その方法を紹介した記事がこちら。
アップデート方法・提供形態

iOS 18.5は対応デバイスに対して無料のソフトウェアアップデートとして提供されている。これはいつもといっしょ。
インターネットに接続できる環境で、iPhoneの「設定」アプリ内の一般 > ソフトウェア・アップデートからダウンロード&インストール可能。
通常、デバイスがWi-Fiに接続され充電中であれば自動アップデートが夜間に実行される設定も利用できる。
アップデートを行う際は時間に余裕のあるときに実施し、事前にiCloudやPCへのバックアップを取っておくと安心(万一の不具合やデータ消失に備えるため)。
アプデ後は一時的にバッテリー消費が速くなるかも
これは今回のiOS18.5だけに限らないが、OSのアプデ後は、OSの最適化のために一時的に電力を消費しやすくなる傾向にある。その期間は、概ね数日から数週間。
「アプデしたらバッテリーの消費が速くなった。これは不具合だ!」とすぐに決めつけないようにしよう。
使ってみての感想
堅実という印象。
こういった修正や機能追加のきめ細やかさがを積み重ね、現在のアップルというブランドの確固たる地位を築いている。
一方で、不要と感じる機能追加が時折出てくるのも常。今回のケースで言えば、背面タップのバナーは俺には必要ないのでオフにしておく。
また、毎度のことながらOSアプデ後はしばらくすると大小さまざまな不具合の報告も何かしら出るもの。不安がある人は、もう少し様子を見てもいいだろう。
しかしながら、セキュリティ関連のアップデートが多いのも今回の特徴だ。過度に寝かせず、重大インシデントの情報が出てこなければ、早めにインストールしておくのが無難。