必ず成功できる方法はないが、必ず失敗できる方法はある。
資格勉強でもそれは同じ。基本情報技術者試験は、決して必ずしも誰でも受かる試験ではないし、下手な勉強をしていれば一生受からない。
基本情報に合格するために必要なことを発信している情報は山ほどあるが、この記事では少し視点を変えて、「逆にどんな勉強では不合格になってしまうのか」をまとめたので、勉強に活かしてほしい。

特に俺の場合、文系卒でIT業界未経験で受験したため、普通に厳しい勉強だった。
受験当時の俺のスペック。
- 学歴: 文系国立大学出身
- 社会人歴: 非IT業の社会人3年目
- プログラミング経験: ExcelVBAやPHPを少し触ったことある程度
- ITパスポート未取得
俺は基本情報技術者試験を2023年11月下旬に初めて受験し、その時は不合格だった。その後弱点を補強する勉強をし、約1ヶ月後の2024年1月初旬に無事合格した。
つまり、一部下手な勉強をしたせいで1回分の受験料7,500円をドブに捨てたわけ。そんな血と涙の経験をもとに、少しでも後に続く若者の役に立ちたいと体に鞭打って頑張って書いているので、ぜひ最後まで読んでいってほしい。俺含めて、落ちたやつは落ちるべくして落ちている。成功談の再現性は低いが、失敗談の再現性は非常に高い。
なぜ受験しようと思ったのか、合格までどんな流れで勉強したのかという話については、こちらの記事にまとめている。当記事の文末にもリンク貼ってるので、あとで読んで。
このブログは広告によって支えられています
結論、やってはいけない勉強法はこの目次のとおり。
そもそも勉強期間が短すぎ

基本情報技術者試験は甘くない
「ITの登竜門」と言う通称や、「基本」というワードの影響からなのか、基本情報技術者試験は「過去問をチャチャっとやっとけば誰でもわかる。受かって当たり前」などとネット上ではよく言われている。
特に目立つのが、「1週間で合格した話」や「一夜漬けで合格したった」といったような、超短期間で合格したと言い張る発信だ。
しかしながら断言する。掲示板のスレなどで言われているほど基本情報技術者試験は甘くない。
事実として、近年の基本情報技術者試験の合格率はおおよそ40から50%であり、2人に1人が不合格になっている。

これも全人口の2人に1人というわけではなく、一定期間、基本情報の勉強をしてきた人たちのうち、半分が不合格になるということ。加えて、受験者のバックグラウンドも様々だ。IT業界で数年既に勤めている人なら、それぐらい短時間の勉強でも合格できるのかもしれない。
一方で、俺のようなIT未経験者や、新卒入社したての人なら、よりたくさんの勉強時間が必要な事は容易にわかる。
特にネット上では、不合格になった人は、恥ずかしがってわざわざ語らないものだ。基本情報技術者試験の受験の考えている人は、くれぐれもネット上の無責任なイキリ発信を鵜呑みにして、受験料を無駄にしないでほしい。
IT未経験なら3〜4ヶ月必要
基本情報技術者試験は、一般的にIT未経験者なら200時間程度の勉強時間が必要。これは、平日に2時間土日に+1〜2時間程度勉強すれば概ね3ヶ月になる。
俺の場合はもう少しゆっくりペースで勉強したし、一度不合格にもなったので、トータルでは4ヶ月かかった。
実際、休日出勤や残業などの事情があるだろうし、そもそも日中働いた上で夜に勉強するのは残業がなかったとしてもしんどいこと。なかなか毎日例外なく2時間勉強を続ける事は正直厳しい。

時間的、体力的に勉強できない日があることを想定すると、俺と同じく4ヶ月ぐらい確保しておけば、比較的心に余裕を持って勉強ができるはずだ。
何より、基本情報技術者試験で勉強する内容は業界を問わず役に立つ内容ばかりだ。俺とあなたの受験する動機はそれぞれ異なるかもしれないが、せっかく勉強するのであれば、超短期間で頭に詰め込んですぐに忘れてしまうのよりも少し時間をかけてしっかり知識を咀嚼しながら定着させたほうがメリットが多いのではないかと俺は考える。
基数変換の計算問題から勉強する
基数変換の計算問題は文系やIT初学者などにとっては勉強の負担が大きくて難しいので、学習初期に手を付けない方がいい。
にも関わらず、参考書の最初に掲載されているので、みんな最初に勉強しがち。
まだ多くの試験範囲に手を付けられていない状況でなかなか勉強の成果が出てこないので、モチベーションを低下させてしまう。
だから俺は自分の実体験から、基数変換の計算問題は最後に後回しにして、ストラテジ系やマネジメント系などの暗記ですぐに成果が出やすい分野から順に勉強していくことを推奨している。
俺は基礎理論が一番苦手だったし、IT未経験者にはそういう人が多いだろうから、「基礎理論を後回しにするべし」としているけど、それ以上に苦手な分野があるなら、ぜひそいつを後回しにしたらいいと思うよ。
難しい分野なのに、参考書の最初に掲載されてしまっている
基数変換は、「基礎理論」という分野の内容の一部だ。「基礎理論」とは、離散数学や応用数学など、情報技術全般を理解する上で不可欠な、数学的な基礎理論を扱うテクノロジ系の分野のこと。
基本情報技術者試験の運営者であるIPAが公式シラバスにおいて、基礎理論の分野を最初に記載しているため、巷のほとんどの参考書でも基礎理論、とりわけ基数変換の計算問題が最初に掲載されている。

はっきり言って、基本情報の試験範囲の中では、文系やIT初学者にとっては勉強の負担が比較的大きめの分野だと言える。にも関わらず、参考書の一番最初に書いてあるものだから、「こんなに難しい内容が残りの分野でもずっと続くのか」といきなり面食らってしまうのだ。
この驚きがモチベーション低下を産んでしまい、「やっぱり文系の俺にはこんな試験無理だ」などと思ってしまう。正直俺も全く同じ状況に一瞬陥ったのを鮮明に覚えている。
モチベーションを保ちにくい勉強順序
- 基数変換の計算問題
- 基数変換の計算問題以外のテクノロジ系
- ストラテジ系・マネジメント系
他の分野を片付けてから勉強する方がモチベーションを高く保てる
残りの分野は用語を覚えることで対応できる分野もたくさんある。特にストラテジ系やマネジメント系の分野は暗記系が多い。そういった分野では、文系出身やプログラミング経験の少ない人でも勉強の成果が出やすい。
成果が出やすい順で一つひとつ分野を潰していき、「基礎理論以外の分野の過去問ではある程度点が取れるようになってきたぞ。あとはこいつだけ」という状況に持って行った方が、プロセス全体を通して、モチベーションを高く保ちやすい。
モチベーションを保ちやすい勉強順序
- ストラテジ系・マネジメント系
- 基数変換の計算問題以外のテクノロジ系
- 基数変換の計算問題

【注意】ただし、最低限の知識は学習初期から身につけておいた方がいい
ここで俺が「後回しにすべき」と主張しているのは、あくまで基数変換の計算問題のことであって、他の分野でも必要となる最低限の知識は身につけておいた方がいい。
最低限の知識とは、例を挙げると次のようなもの:
- 0と1だけで書かれてたら → それは2進数
→ コンピュータの言葉みたいなもの。 - 1バイト = 8ビット
→ コンピュータは「8ビット1セット」で動く。 - 1キロバイト = 1000ちょっと(正確には1024)
→ キロって言っても1000ぴったりじゃない。 - 16進数は「0〜9」と「A〜F」を使う
→ A=10、B=11、…F=15って覚えるだけで十分。 - 255という数字をよく見る → 1バイトの最大値
→ 例:色の明るさとか、IPアドレスの数字でよく出る。 - IPアドレスの「192.168.0.1」は、実は全部0〜255の範囲の数字
- → 各部分は1バイトで表されている。
過去問に取り掛かるのが遅い

少なくともスケジュールの6割は過去問演習に当てないとキツい
基本情報技術者試験の勉強は、過去問演習の量が全てと言ってもいい。
もちろん、知識のインプットは必要だ。特に文系やIT初学者は知らない単語なども多いので、学習スケジュールの初期に一定の時間を参考書や動画からのインプットに充てることは不可欠となる。
しかし、インプットに多くの時間をかけすぎて試験本番まで時間がなくなり、過去問演習が足りないままでは、合格は無理だ。
俺の経験の感覚では、3〜4ヶ月の勉強期間なら、最低でも6割ほどの時間は過去問演習に割くべきだ。理想は7割だが、IT未経験者や新卒だと、インプットしないといけない知識が多いので、現実的には難しい。
参考書には掲載されていない単語が山ほどある
過去問演習は、もちろん実際の試験問題を解く行為に慣れるためにするのだが、もうひとつ重要な側面がある。
それは、参考書には載っていない単語に出会うことだ。
世の中に存在するIT用語は膨大である。それに、変化の激しい業界なので日々新しい言葉が生まれている。基情のどんな優秀な参考書でも、全ての関連用語を網羅的に掲載することは、物理的に不可能なわけ。
基本情報の受験勉強では、過去問で初めて見る単語に遭遇するという経験が無限に繰り返される。だから、過去問演習も含めてインプットなのだ。参考書によるインプットが仮に完璧にできたとしても、それではまだまだ道半ばにも至っていない。
過去問演習をする方法は、「過去問道場」一択。2,800問以上の過去問が掲載されており、科目Aの過去問演習はこのサイトで十分。無料でいくらでも演習できるので、ぜひ早めに着手してほしい。
ネットで用語を調べない

基情では、横文字のIT用語や、略された英単語が無限に登場する。
例えば過去問でROMという用語が登場したとして、「へー、ROMっていうものがあるのか」と思うだけで、そこから単語の深掘りをしなければ、一生定着しない。
今後別の問題で登場したとき、ROMに関する知識を用いて正解の選択肢を絞れるようになるには、拙くとも人に説明できる程度まで、用語を咀嚼して理解しておくのがベストだ。
そうして、単語の理解を深めるのに役立つのが、ネットやAIツールによる検索だ。
例えばROMについてなら、次のレベルぐらいまでは最低限調べてノートに書いておくようにする。
ROM
↓
Read Only Memory
↓
日本語では「不揮発性メモリ」
↓
意味は「電源を切っても記憶内容が保持されるメモリ」
↓
その特徴から、データの長期保存や外部ストレージとして使用される

このノートの写真のとおり、過去問に登場した用語を深掘って調べてノートにアウトプットするという行為は、俺はかなりやった方なので、どちらかというと成功体験に基づく話だ。
科目AはIT未経験者にしては比較的早く合格ラインを超える点数が過去問で取れるようになっていたが、この勉強法無しには成し得なかったと断言できる。
トレースを身につけようとしない【俺の不合格時の最大の敗因】
トレースとは、値の変化を地道に追う作業
科目Bのアルゴリズムとプログラミングでは、トレースという作業が必要になる。トレースとは、プログラムを実行したときに、どのように値が変化していくか、やイベントの因果関係を自分で追っていく作業のこと。
このトレースという作業、文系やIT未経験の人にとっては特に馴染みのない作業だ。

俺も例外ではなく、とりあえず参考書の見様見真似でやってみたものの、限られた時間の中ではなかなかうまくできなかった。
俺の1回目の受験での最大の敗因は、トレース力の習得を疎かにし、我流で科目Bのアルゴリズムとプログラミングに挑もうとしていたことだ。
「トレースはやらなくても解ける」という話はウソ
俺も信じたかった
ネット上では、「トレースなんてやらなくても解ける」、「むしろ一々トレースをしていたら絶対に時間内に解ききれない」といった情報が溢れている。
これはトレースの勉強で挫折しそうになった人にとっては聞こえのいい話だ。俺も正直、この「トレース不要論」を信じて、もしくは信じたくて、我流で問題を解けるようになろうとしようとしてしまった。
結果、科目B 480点でボロ負けだった。
トレースしないために、トレースができる必要がある
「トレースなんてやらなくても解ける」、「むしろ一々トレースをしていたら絶対に時間内に解ききれない」といったトレース不要論を唱える人たちの主張には、間違った内容が含まれている。
正しくは、「トレースしなくても解ける問題もたまにはある」だ。そして、トレースしなくても解ける問題かどうかを判断できるようになるには、トレース力が必要だという話。
さらにいうと、ほとんどの受験者は、科目Bのアルゴリズムとプログラミング16問全てに対して十分な時間を割くことができない。つまり、捨て問を選ぶ必要が生じるのだ。
この「捨て問を選ぶ」という行動に際しても、「これはトレースの負担が大きそうな難問だな。捨てた方がいい」という判断が必要で、その判断を適切にできるには、トレース力が必要。
- トレースしなくても解ける
- トレースしてたら寧ろ全問解けない
- トレース力は必要
- トレース力しなくても解ける問題はある(ただしトレース力がないと判断できない)
- 捨て問を選ぶ必要がある(ただしトレース力がないと判断できない)
てなことで、これから受験する人は、甘く楽な話を信じて我流に走るのではなく、粛々とトレースの習得に励んでほしい。
我流に走って1回分の受験料7,500円をドブに捨てた俺との約束な。
科目Bの演習量が少ない
科目Bは近年新型式になった影響で、まだまだ演習問題の量が少ない。頑張っていろいろな問題集やYouTubeなどから問題をかき集める意識を持たないと、自然と演習不足になってしまう。
科目Bは公開されている演習問題の数が限られている
科目Aは過去問道場に2,800問以上が掲載されているので、過去問演習に困ることはないのだが、科目Bは違う。科目Bは世の中に公開されている演習問題の数がまだまだ少ないのだ。
つまり、科目Bは、演習問題をいろいろな媒体からかき集めて来ないと、どうしても演習不足になってしまうのだ。
これには基本情報技術者試験の変遷が関係している。2023年4月から試験形態が新形式に変わっており、それまで午前試験、午後試験と呼ばれていたものが、科目A、科目Bと名称が変わった。
科目Aは問題数と試験時間が変わっただけで、解く問題は基本的に午前試験と同じ。しかし一方で、科目Bは問題の内容まで午後試験と異なるものになってしまったうえに、IPAが過去問を公開しないようにしてしまったのだ。
俺がかき集めた演習問題

俺が受験した2023年は、まさに新形式の1年目だったので、特に情報が少なかった。そんな中必死でかき集めた演習問題がこちら。
数年経過した今は問題集なども増えているはずだが、ここに掲載しているものはどれも高品質なので、迷ったらこれを選ぶといい。
受験本番のシミュレーションをしない
CBT方式でつまずくリスク
基本情報技術者試験は、CBT(Computer Based Testing)方式と呼ばれる、全国に設置された試験会場で、コンピュータに表示された問題を解く試験形態で実施される。
問題文表示、回答入力操作、試験タイマー、回答状況表示など、これら全ての機能が受験用PCで動く。また、A4用紙とボールペンが渡され、計算やトレースに自由に使用していい。ただし、持ち帰りは不可。

このCBT方式に慣れていると自信を持って言える人は、少ないはず。CBT方式で受験する自分をイメージし、シミュレーションしておかないと、PCの操作に手間取ったり、それが原因で焦ったりすることにつながる。そうなると、それだけ自分のパフォーマンスが低下する。
普段の勉強から、PCで過去問道場を表示し、A4用紙とボールペンを用いて解く習慣をつけておく方が、圧倒的に有利だ。
時間配分と解答順序
時間配分
基本情報の試験時間と問題数は、
- 科目A 90分(60問)
- 科目B 100分(20問)
と決まっている。よって必然的に1問に充てられる平均時間が算出できる。科目Aなら1問あたり平均1分30秒、科目Bなら1問あたり5分という具合。
ただし、当然そう計算どおりにはいかないわけで、特に科目Bでは捨て問選択の重要性が高い。
普段の問題演習の段階から、解答時間を意識して練習しておかないと、本番で全く時間が足りずゲームオーバーになる。
解答順序
時間配分と同じぐらい、解答順序も重要。学習スケジュールの順番の話とも通ずるが、解きやすい問題から解くことは合格への重要な鍵だ。試験時間中という短い時間の中でも、序盤から「解けた」という成功体験を着々と積み上げることは、試験中のあなたのパフォーマンスを良い方向に導く。
逆に、これを戦略的に実行できず、ストレスの大きい問題に序盤に多くの時間を注ぎ込んでしまうと、失敗につながる。
科目Aでは基数変換の問題は後回しにして、一通り最後まで解き終わってから挑む。科目Bではアルゴリズムの問題よりも先にセキュリティの問題を片付けて自信をつける。といった戦略を試験前からシミュレーションしていたので、本番でも実践できた。
まとめ
基本情報技術者試験は、決して「チャチャッと過去問やれば誰でも受かる」ような甘い試験じゃない。特に俺のような文系出身でIT未経験の人間にとっては、しっかり戦略を立てなければ普通に落ちる。俺自身、しっかり落ちて7,500円をドブに捨てた。
要は、楽して受かろうとせず、地道に潰すべきことを潰していけということ。あなたには、俺の失敗を参考に、合格を勝ち取って欲しい。
これも読んどく?
そもそも俺が基本情報技術者試験を受験しようと思った動機や、合格に至るまでの流れなどについては、こちらの記事で書き綴っているので、読んでいって欲しい。