アクティブレストで疲労回復・QOLアップしよう。やり方や効果を解説

2025年10月9日

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「疲れてるから、今日はずっとダラダラしよー...」

毎日の仕事が大変すぎて、休みの日も家に引きこもってしまうという人も多いのではないでしょうか。まずは何より、毎日お仕事本当におつかれさまです。

本当は休みの日は友達とカフェに行ったり、何なら少し足を伸ばしてレジャーにも行って、人生の時間を充実させたいと心では思っているのに。体が疲れていてそれどころではない。

こんなに疲れているのに、外に出て遊んでいたら、さらに疲れてしまって、休日が終わった後の出勤が地獄になってしまうんじゃないだろうか。そう思うと、昼まで寝て、スマホを見てダラダラした方がもはや体にいいような気がする。そんな経験、心当たりありませんか?

僕はいっぱいあります。しかしある時、その考え方は間違いだったと気づく出来事がありました。社会人1年目のある日曜日、明日からの仕事に備えて、少しでもダラダラしていたいと思っていたところ、友達に誘われて、急に郊外の山にプチ登山に出かけました。

登山といってもほとんど8号目ぐらいまで車で行けて、車を降りてから2時間もあれば山頂まで行って車まで戻って来れるぐらいのもの。若い人間にとっては、軽〜中程度の運動量だったと思います。

友達と話すのは楽しいし、レジャーも好きなので、もちろんその時間は楽しいのですが、「あぁ、明日月曜日なのに疲れが残ってしまったらマジでしんどいな」という考えもよぎっていました。

そして月曜日。なんと、休日にレジャーに出かけたせいで疲れるどころか、むしろ元気になっていたんです。疲労困憊で頭が回らないのではないかと不安に思っていたのに、逆にいつもの月曜日よりも少し頭がクリアで、仕事がサクサク進むし、体が軽いではないか。

ずっと疲労は睡眠のみによって回復されると信じきってのに、実際は自分の体にその逆のことが起こりました。

この経験以降、休みの日はどういう過ごし方をすれば、本質的な休息を得られるのかと言う疑問が、自分の中に残り続け調べるようになりました。その結果、行きついた1つの答えのような言葉、それが「アクティブレスト」です。

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アクティブレストとは、あえて少し活動して疲労回復を促すこと

アクティブレストとは、日本語では、積極的休養。疲れているときに、あえて軽い運動や活動を行って体を動かすことで疲労回復を促進する休養方法のこと。そもそもアクティブレストの概念が生まれたのは、スポーツの世界。アスリートがオフ日に効率よく疲労回復することを目的に考え出されたものです。

休むというと、常識的には何もせずゆっくりする、静的休養(パッシブレスト)の方が想像しやすいところですが、実は、「少し動く」ことも回復に繋がるんです。理由は主に次の3つ。

  • 血行促進による疲労物質の排出
  • 凝りの解消
  • 自律神経のととのい

これらの他にも、もっと長期的に考えれば、継続的な運動習慣によって筋肉が維持され、そもそも疲れにくい身体になるという効果もあります。

アクティブレストには次のようなやり方があります。

  1. 軽めの有酸素運動やストレッチ
  2. 日常生活での軽い身体活動
  3. 趣味や創作的な活動
  4. 社交的な活動

軽めの有酸素運動やストレッチ

ゆっくりとしたウォーキングや、軽いジョギング、サイクリング、自宅でのストレッチやヨガなどがこれにあたります。血行が促進され、筋肉に酸素と栄養が行き渡りやすくのです。

重要なのは、呼吸が乱れない程度の強度で体を動かすこと。あくまで軽度の「心地いい」ぐらいの運動量に留めることによって、副交感神経が優位になってリラックス効果が高まります。運動で体がほぐれるだけでなく、ストレスホルモンの分泌が抑えられ、精神的なストレスも和らぐ効果があります。

日常生活での軽い身体活動

特別な運動の時間を取らなくても、掃除や洗濯、料理などの家事に少し強めに体を使うことも、アクティブレストにあたります。買い物ついでに少し遠回りで歩く。エレベーターではなく、数回分階段を使うという日常動作の工夫も、少しずつ体動かす習慣になるということ。

趣味や創作的な活動

絵を描く、音楽を演奏・鑑賞する、読書、料理、DIYといった、適度に体や頭を使う趣味も積極的休養になり得ます。ぜひ、仕事や勉強とは異なる脳の使い方をするものに取り組んでみてほしいです。脳には様々な神経回路がありますが、このうち仕事や勉強で酷使しているのは、実は一部の神経回路だけだったりします。休みの日に別の神経回路を使う活動をすることで脳そのものの気分転換を図る効果があるのです。

社交的な活動

心身のリフレッシュと言う観点では、気の合う人とおしゃべりしたり、カフェでくつろぐ時間も心の積極的休養のひとつです。休日に友達と会って話すのが楽しいという人は多いでしょう。これも立派なアクティブレストなのです。

アクティブレストの効果には、科学的根拠がある

  • 主観的な疲労感を軽減する
  • 実際に身体の疲労を回復させる
  • メンタル的にもポジティブにさせる

アクティブレストが疲労感を軽減する

2012年に発表された東京成徳大学の論文によれば、積極的休養をとると、シャキッと覚醒した感覚が得やすく、主観的な疲労感が軽減することがわかっています。

日本心理学会第76回大会発表論文集「積極的休養によるパフォーマンス向上と疲労回復効果」(2012 東京成徳大学)

この研究では、参加者を、「ストレッチをするグループ」と「何もせず座ってじっと休むグループ」とに二分し、それぞれに細かい作業をさせました。

その結果、積極的休養(ストレッチをする)には、疲れの感じ方を早く回復させる効果があることがわかったのです。特に「ぼんやり感」「快適度」「目覚めの感覚(覚醒度)」という主観の面で、ストレッチした人の方が良い結果を示したとのこと。

アクティブレストが、実際に身体の疲労を回復させる

また、別の研究では、主観的な疲労感だけでなく、実際に身体の疲労が回復する結果も報告されています。

軽運動が監視作業時の覚醒水準と疲労の回復に及ぼす効果( 2010 中塚健太郎・坂入洋右)

この研究では、救助現場などで監視を続けるライフセーバーを対象に、アクティブレスト(ボール運動、歩行、ストレッチなど)がどんな影響を与えるかを比べました。

この研究では、眠気などの主観的な指標に加えて、皮膚温度などの生理的指標も効果測定に用いています。生理的指標に着目すると、軽運動(ボール運動や歩行)後に、被験者に次のような、「疲労回復を促進するプロセス」が働いていることが確認できたのです。

  • 皮膚温度の上昇(=末梢血流の増加)
  • 心拍数の軽い上昇とその後の安定(=自律神経のバランス回復)

つまり、「疲労を感じにくくなった」という主観的報告を、体の反応も裏づけていると言えます。

アクティブレストが、メンタル的にもポジティブにさせてくれる

積極的休養は、ネガティブ感情を和らげ、ポジティブ感情を高めるのにも役立つと示した論文もあります。

九十九島におけるシーカヤックツアーが参加者の心理状態に及ぼす影響について(2006 西村千尋)

この2006年の調査では、シーカヤックツアーによるアクティブレストを取り入れた結果、参加者のメンタルヘルスが改善されたことが報告されています。ツアー前よりもツアー後の方が、参加者の緊張や抑うつなどのネガティブな感情が低減し、その代わりに活気が高まったとのこと。

  • 「緊張」「抑うつ」「怒り」「疲労」「混乱」などのネガティブな感情が大きく減少。
  • 「活気(エネルギーや前向きな気分)」が大きく上昇。

アクティブレストを実践するコツは、軽い負担で日常に組み込むこと

アクティブレストは、日常の隙間時間に少しずつ取り入れることができます。休憩のタイミングや休日の過ごし方で、十分に取り入れる余地があるでしょう。

タイミング内容例所要時間
仕事中や勉強中
・立つ
・歩く
・短いストレッチ
数秒〜数分
平日のプライベート時間・ウォーキング
・ジョギング
・ジム
1時間以下から
週末・休日・ハイキング
・サイクリング
・球技
半日〜1日単位

仕事中や勉強中は、数秒〜数分でも「座りっぱなし」を解除しよう

長時間座りっぱなしで作業しているときは、1時間に一度でも席を立って軽くストレッチする習慣をすよるといいです。背伸びや屈伸、肩回しなど簡単なもので構いません。あるいは飲み物を買いに少し離れた自販機まで大股で歩いて行くのも良い方法。数分間体を動かすだけでも筋肉のこわばりが取れ、頭もスッキリします。

ただし、意識してもなかなかできない場合は、「仕組み化」で改善してみるのがおすすめです。作業に集中しているとつい、長時間座りっぱなしになってしまうのがオフィスワーカーの性ですから。

スマホやスマートウォッチのアラーム機能を使って、アクティブレストをする時間を通知させるようにするのが有効です。おすすめは1時間程度。ちなみに、そうして一定時間ごとに仕事や勉強の時間を区切ってメリハリをつけることで、効率がを上げる効果もあるので、一石二鳥というわけですね。

平日のプライベート時間には、「ちょっとだけ」まとまった時間を投じてみよう

仕事や家事が一段落した後や朝の時間に、有酸素運動を15〜30分ほど行ってみましょう。有酸素運動として、ウォーキングや軽いジョギングができるほか、ヨガや軽めの筋トレ、入浴前のストレッチもおすすめ。

ポイントは気合を入れすぎないこと。自分が思うより「半分」の時間だけでやってましょう。「2時間ジムに行ってやろう」と意気込む気持ちになりがちですが、アクティブレストによる疲労回復が目的なら、1時間以内に終えられるメニューにするのがおすすめです。

まとまった運動の時間が取れない場合は、日常の家事をアクティブレストの機会に変えてみるのも手です。掃除や洗濯を「運動だ」と思って少しテキパキ動いてみたり、料理の合間に台所で屈伸運動をするのもいいでしょう。日常動作をいつもより大きく・ダイナミックにしてみるだけでも運動量が増え、達成感も得られます。

週末や休日は、「少し気合いが必要」なことをしてみよう

さて、アクティブレストで最も影響力のある時間、それが休日です。

休日は、半日や一日単位で、「身体」と「脳」を職場と家から離れた「非日常世界」へ、旅をさせることができます。アクティブレストは、仕事とは異なる神経回路を使うことだと言い換えることもできます。それに最大限の時間を投じられるのが、まさに休日。

大きな時間を投じられるぶん、特に平日と比較して、「脳」に積極的休養を与えてあげやすいのです。例えば近場へハイキングやサイクリングに出かけてみる、気軽なスポーツ(キャッチボールやバドミントン等)を楽しむ、あるいはボランティア活動に参加して体を動かすのも良いリフレッシュになります。旅行に出かけて新しい景色を見たり人と触れ合ったりすることも、脳への良い刺激となり心身のリセット効果が高まります。

まとめ

僕が友人との山登りで得た、謎の疲労回復には、「アクティブレスト」という名が付いていました。

スポーツ科学の研究でもその効果は裏づけられており、ストレッチやウォーキングなどの軽運動が主観的な疲労感を軽減し、実際に体の回復を早めることが確認されています。また、社会的交流や趣味活動も脳の異なる神経回路を刺激し、メンタル面のリセットにも効果があります。

実践のコツは、仕事中なら数分の立ち上がりやストレッチ、平日は短時間の有酸素運動、休日は非日常的なレジャーやスポーツなど、日常に無理なく組み込むこと。体を「心地よく動かす」ことで、疲労が抜け、気分も前向きに整うのです。

ただし忘れないでほしい、注意点があります。アクティブレストは休養の主役ではありません。あくまでしっかりとした睡眠などの静的休養や、健康な食生活などが大前提として最も大事です。アクティブレストは、そのうえで現代特有の疲労を軽減する補助的な役割に留まります。

ぜひ、せっかく読んでくれたあなたのQOL向上に役立ててほしいです。お仕事や勉強で忙しい中、読んでくれてありがとうね。

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