箇条書きの最大の強みは"簡潔さ"

箇条書きは情報を整理し、要点を簡潔かつ明確に伝えるための有効な手法である。しかし、使い方を誤ると逆に伝わりにくくなる。
ここでは、ビジネス文書やプレゼン資料において箇条書きを効果的に活用する方法について詳しく解説する。

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【いきなり結論】箇条書きを正しく使う方法
箇条書きは、次の2ステップを意識することで適切に使いこなせる。
- 次のどちらのための箇条書きかを明確にする
- 自分の思考整理のため →好きなように書き出せはOK
- 資料にするため →書き出した後にブラッシュアップが必要
- 資料にするための箇条書きの場合は、次の2点を意識する
- 並列か時系列かを明確にする
- 視認性を向上させる(項目数調整、行間空け、図解への置き換えなど)
箇条書きのメリット
箇条書きのメリットには、次のようなものがある。
- 脳内を整理することができる
- 伝える情報を絞ることができる
脳内を整理することができる

箇条書きは、頭に思いついたことを上から順番に列挙していけばいいので、脳内の思考整理をする手段として非常に効果的。
これをブレインダンプと呼ぶ。ブレインダンプについては、後の章で詳しく解説する。
伝える情報を絞ることができる

強調したいキーワードを文章の中に埋もれさせるよりも、箇条書きにして文章から切り出した方が読み手にすぐに伝わるようにできる。
一方で文章の中に残したままの語句は埋没して存在感が薄れるため、印象に残る/残らないを書き手が操作しやすくなる。
□□様
お世話になっております。
この度は〇〇セミナーへの出席希望をご提出いただき、ありがとうございます。
当日は13:00から開始となりますので、12:30までに受付を済ませてください。受付は本社ビル1階のロビーで行います。会場では参加者の名札が必要になりますので、事前に送付した名札をお持ちください。
また、筆記用具とノートパソコンを持参いただくと、ワークショップの内容をよりスムーズに進めることができます。セミナー終了後はネットワーキングの時間を設けていますので、名刺を持参することをお勧めします。
当日お会いできることを楽しみにしております。よろしくお願いいたします。
□□様
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次のとおり当日の詳細を共有しますので、ご確認をお願いします。
■ 開催概要
- 日時:〇月〇日(〇) 13:00開始(受付12:30〜)
- 会場:本社ビル1階 ロビー
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■ その他
セミナー終了後にネットワーキングの時間を設けています。ぜひご参加ください。
当日お会いできることを楽しみにしております。よろしくお願いいたします。
箇条書きのデメリット
箇条書きのデメリットには、次のようなものがある。
- 項目間の関係性がわかりにくくなる場合がある
- 逃げとして安易に使ってしまいがち
項目間の関係がわかりにくくなるリスクがある

キーワードだけを抽出して列挙できるメリットの裏返し。箇条書きは情報を単調に並べることが前提のため、項目同士の関係性が伝わりにくくなる。項目同士の関係性が伝わりにくくなる場合は、箇条書きを使わない方がいい。
たとえば、次のような箇条書きを見てほしい。
- 競合商品の増加
- 販売戦略の見直し
- 新規ターゲット層の開拓
これだけでは「競合商品の増加」によって「販売戦略の見直し」が必要になったのか、それとも単に独立した課題なのかが不明瞭だ。また、「新規ターゲット層の開拓」は戦略の一部なのか、それとも別の施策なのかも分かりづらい。
もしこれを文章で書くなら、次のように整理できる。
競合商品の増加に伴い、販売戦略の見直しが必要になった。
特に、既存の顧客層だけでは市場シェアの維持が難しいため、新規ターゲット層の開拓が急務となっている。
このように、文章でつなげることで各項目の因果関係や重要度が明確になるという側面もある。
というものではない。だから、何でもかんでも箇条書きにすれば伝わりやすくなるというものではないのが、難しいところ。
逃げとして安易に使ってしまいがち

伝えたいことの文章を考えるより、箇条書きで書き出す方が楽なので、安易に使用してしまいがちだ。
頭の整理をする目的で箇条書きを使用しているなら好きに書けばよいのだが、人に見せる資料の時は、もっとブラッシュアップするべき。
箇条書きが最適なケースならぜひ使うべきだが、単に文章にするのが面倒くさい、図解にした方がいい気がするが思いつかない、といった逃げの理由で箇条書きを資料に用いているのなら、明日からやめよう。
箇条書きが役に立つ場面
箇条書きの活用方法は、大きく2つに分類することができる。
- 思考を整理する(ブレインダンプ)
- 人に見せる資料にする
思考の整理(ブレインダンプ)

メリットの説明でも触れたが、思考の整理に箇条書きを用いるのは、非常に相性がいい。これをブレインダンプと呼ぶ。
頭の中にやることやアイデアが山盛りで、ごちゃごちゃになっている考えがまとまらずモヤモヤ…そんなときに役に立つ。
ブレインダンプでは、列挙する内容の大小や階層構造などは意識する必要がなく、思いついたことを手当たり次第順番にアウトプットしていけばよい。
アイデア出しから感情の整理まで、ビジネスパーソンから学生まで誰でも使えるシンプルな思考整理テクニックだ。
ただし、ブレインダンプでアウトプットしたものを、企画書やプレゼンなど、人に伝える資料にまで仕上げるには、ここから幾つもの工夫を重ねていく必要がある。
人への説明資料

箇条書きのメリット2つ目の「伝える情報を絞ることができる」という点は、人への説明資料に用いるときに効果を発揮する。つまり、情報の伝達効率が向上するということである。
人に見せる資料で箇条書きを使う2つのポイント
並列か時系列かを明確にする
並列型の箇条書きとは、項目同士が同じ次元・同じ重要度で独立しているリストのこと。各項目に順番や時間的な前後関係はなく、入れ替えても意味が変わらないものが並ぶ。
例えば「商品の主な特徴」「プランのメリット一覧」などは並列型。項目は自由に並べ替え可能で、一貫したカテゴリに属している点が特徴だ。
一方、時系列型の箇条書きとは、各項目に順序や時間的な意味合いがあるリストのこと。手順や段階、プロセスなど、前後関係が重要な情報を箇条書きにしたものを指す。
例えば「作業の手順」や「イベントのタイムライン」「プロジェクトの進行ステップ」などが時系列型である。項目の順番に意味があり、順番を入れ替えると内容が変化したり理解不能になったりする。
【例】並列型の箇条書き

「契約ブランのメリット一覧」というテーマであれば、箇条書きは以下のようになる。
- 2ヶ月分半額
- 14日間のお試し期間あり
- 定期的にお得なクーポンがもらえる
これらの項目は順位付けされない。つまり、順番に大きな意味はない並列リストであるということ。読み手はプランの同列のメリットが3つ列挙されていると理解する。
【例】時系列型の箇条書き

「ブログを書く手順」というテーマなら、箇条書きを次のように書ける。
- キーワードを決める
- ユーザーニーズを探る
- 文章構成を作る
このように番号付きで順序立てることで、段階を追う手順であることが明確になる。読み手は、上から順に実行すべきステップだと認識できる。
箇条書きの視認性を向上させる

人に見せる以上、読みやすくなるよう、レイアウトを工夫しなければならない。
- 簡潔な表現を心がける
- 項目は冗長にならないようにする
- 項目は最大7つまで
- 行間とインデントでレイアウトを整える
- 図解への置き換えを検討する
簡潔な表現を心がける
箇条書きの1項目あたりの文は1文以内に抑え、冗長な表現を避けるようにしよう。
また、列挙する項目の数も多すぎないようにした方がよい。プレゼン資料ではスライド1枚に3〜5項目程度に抑える。
項目の冗長さをなくす
【項目が冗長すぎる 悪い例】
- 会社の売上を向上させるためには、まず現状の分析をしっかり行い、どこに課題があるのかを正しく把握することが重要である。
- 市場の動向を確認し、競合他社の施策についてもリサーチすることが求められる。
- 広告施策を実行する際には、ターゲット層の特性を考慮し、適切なプラットフォームを選択する必要がある。
【項目の冗長さを無くした 改善例】
- 現状分析の徹底
- 市場・競合のリサーチの実施
- 広告施策のターゲット最適化
項目数は7つまで
人が記憶できる物事の数は、最大で 7 ±2 と言われてる。箇条書きの項目数は最大7つまでにしよう。
考えを整理する段階ではたくさん書き出してもいいが、文章や資料として、人に見せるためのものとして仕上げる際には、本当に重要な項目だけを残すよう、整理した方がいい。
【項目が多すぎる 悪い例】
- ポイント1
- ポイント2
- ポイント3
- ポイント4
- ポイント5
- ポイント6
- ポイント7
- ポイント8
- ポイント9
- ポイント10
- ポイント11
【項目数を絞った 改善例】
- 本当に重要なポイント1
- 本当に重要なポイント2
- 本当に重要なポイント3
行間とインデントでレイアウトを整える

箇条書きは、前後の文章と比較して行間を大きくとることと、インデントを下げることで存在が強調される。これはリストタグを使えば自動的に調整されることが多いため、WordやWebページなど文字に装飾を付ける機能がある状況では、"リスト"を使用しよう。
【例】リストではこのように自動的に行間とインデントが設けられる。
前の文章
- 箇条書き
- 箇条書き
- 箇条書き
後の文章
一方、メールやLINEなど文字に装飾をつけられない場合は、改行とテキスト記号によって、行間やインデントを再現する必要がある。
書き方
前の文章(↩︎改行)
(↩︎改行)
□・箇条書き
□・箇条書き
□・箇条書き
(↩︎改行)
後の文章
□=スペース
見え方
前の文章
・箇条書き
・箇条書き
・箇条書き
後の文章
箇条書きを図解に置き換えることを検討する

箇条書きは、情報を項目として簡潔に列挙することが可能だが、プレゼンのスライドなど、テキスト以外の要素を用いることができる資料では、図解への置き換えを積極的に検討するべきだ。
並列リストの図解
並列リストの場合は、同じ形の図形を並べて配置することで、図解することができる。
特に、テキストベースでは難しい、アイコン挿入などにより、より直感的に読み手に伝わりやすい形で列挙することができる。
並列リストの図解例
背景:現在の業務プロセスにおける課題
- 書類承認にかかる時間
- チーム間のコミュニケーション
- データの散在


時系列リストの図解
一方で時系列リストの箇条書きでは、並列リストと同じように図形を並べて配置したうえで、時間的流れや順序的要素をイラストで表現する必要がある
種類は非常にたくさんあるが、ここでは、次の2つの例を紹介する。
- 処理手順(フロー)の図解
- スケジュールの図解
処理手順(フロー)の図解
処理手順を表す箇条書きは、矢印(↓や▼)を用いて図解することができる。これをフローチャートと呼ぶ。
処理手順の図解例
システム導入フロー
- ソフトウェアの選定と導入
- 社内トレーニング開始
- 全体運用開始


スケジュールの図解
スケジュールを表す箇条書きも、フローと同様、図解することができる。
こちらは、各項目(=工程)の始期と終期を明示するため、フローよりもさらに具体性の高い情報となる。また、同時多発的に工程が発生する場合にも、わかりやすく図解することができるのも強みだ。
図解の方法として最も一般的なのが、各工程ごとに段をずらして、カレンダーの上に始期から終期までを表すラインを引く描き方だ。これをガントチャートと呼ぶ。
スケジュールの図解例
導入計画
- 計画・準備(10月中)
- システム導入・選定(11月〜12月)
- テスト運用・従業員トレーニング(1月〜2月)
- 全体展開(3月〜)


まとめ

箇条書きを適切に活用すれば、情報は格段に伝わりやすくなる。その便利さゆえに、安易に使いすぎてしまうなどのリスクがある。
箇条書きを正しく使うためのステップは次のとおり。
- 次のどちらのための箇条書きかを明確にする
- 自分の思考整理のため →好きなように書き出せはOK
- 資料にするため →書き出した後にブラッシュアップが必要
- 資料にするための箇条書きの場合は、次の2点を意識する
- 並列か時系列かを明確にする
- 視認性を向上させる(項目数調整、行間空け、図解への置き換えなど)
他者に見せる資料に箇条書きを用いる場合は、レイアウトやデザインに気を配り、論理的な構成を意識することで、より効果的に活用できる。
特に、プレゼン資料など、テキスト以外の要素を使用できる場合は、積極的に図解への置き換えを検討しよう。



箇条書きは、ビジネス文書やプレゼン資料の質を向上させるために、強い味方となる。ぜひ明日から、一段クオリティの高い箇条書き活用をしよう。