メールの"読みやすさ"を論理的に構築する方法を学ぼう

あなたは仕事でメールを書くのが得意ですか?
社会人になり、取引先や上司など、社内外の人とメールを介して多くのやり取りを行う中、苦手意識を持っている人も多いのではないでしょうか?
ビジネスメールを書くうえでは、次の2点の両方をおさえる事が大切です。
- マナーを守って失礼をなくすこと
- "読みやすさ"を論理的に構築すること
しかしながら、世の中にはマナーに関する情報が溢れている一方で、ビジネスメールの"読みやすさ"を論理的に構築することについて説明している情報が、意外にも少ないのです。
筆者もかつては1つのメールの書き方にもいつも悩んで、膨大な時間をかけ、ああでもないこうでもないと悩みながら書いていました。
しかし、それではあまりに仕事の能率が悪いため、「これではいけない!」と考え、自分の文章力向上を目指して勉強を開始しました。ライティングやビジネス文書の書き方に関する書籍やYouTube、大手サイトの記事などを調べ尽くし、ビジネス文書として本当に重要であり、なおかつ明日からすぐに実践できる即効性のある改善ポイントを厳選することができました。

こんな人におすすめ!
- メールを書くのにいつも時間がかかってしまう人
- もっと"読みやすさ"を論理的に作りたい人
- 礼儀やマナー以外のテクニックが知りたい人
結論:5つのテクニック

先に結論からお伝えします。読みやすいメールを論理に基づいて書くテクニックは、次の5つです。
- 相手が何をすべきかすぐにわかるタイトルにする
- 結論ファーストで書く
- 一文を40〜60字以内にする
- 120字前後で改行して区切る
- 箇条書きを有効に使う
これらのテクニックはビジネスメールを書くうえで非常に重要です。あなたの仕事は、あなたの書く文章でその成否が決まる。引いては、あなたの社会人キャリアが想い描くものになり得るかが、あなたの文章力で決まってしまうと言っても過言ではありません。
特に、ビジネス文書の中でも、メールは書く頻度が圧倒的に多いものです。メールを上手に書くテクニックを身につけると、読み手のストレスが軽減されるだけではありません。書いている途中の悩みや迷いがなくなり、書いているあなた自身のストレスもなくなって楽になります!
いかがでしょうか?ビジネスメールの書き方について学んでおいて、決して損はありません。
少しでも気になる見出しがあれば、ぜひ続きを読んでいってください!あなたのメールは間違いなく、明日から劇的に良くなります。
補足:解説の対象
本記事では、提案、相談、依頼など、情報を整理しながら書く必要のある、比較的フォーマルなビジネスメールを想定しています。
また今回は、マナーや言葉遣いなどについては解説の対象にしていないのでご注意ください!
よいビジネス文書とは

メールもビジネス文書のひとつです。テクニックの紹介の前に、良いビジネス文書とはどのようなものか、理解しておきましょう。
それぞれのテクニックがどのような点で良い効果を生むのかが分かるようになるので、腑に落ちやすくなります。
ビジネス文書で押さえておくべきポイントについて整理しておきましょう。これについては、倉島保美氏の書籍「書く技術・伝える技術 (スーパーラーニング) 」において最適解が述べられていましたので、引用させていただきます。
こちらの書籍では、ビジネス文書では次の3つの工夫が必要であると述べられています。
- 読ませないで情報伝達できる
- 一読で理解してもらえる(誤解されない)
- 重要な情報が記憶に残る
文章は、1回サッと読んだだけでも誤解なく情報を得られるように工夫して書くことが大切です。
忙しい読み手は、何度も読んではくれません。1回読んでなんとなく理解したら、自分の仕事に取り掛かってしまうものと考えておきましょう。このとき、読み手が内容を誤解してしまうと、誤った行動をに繋がります。その結果、ビジネスの停滞や損失を発生させてしまうリスクを生みます。
もちろん読み手にも読解力を身につける努力は必要ですが、それは書き手であるあなたが相手に求めるものではありません。
書き手であるあなたは、1回しか読まない読み手にも正確に情報が伝わる文章が書けるよう、最大限努力しないといけません。
読みやすいメールを書く5つのテクニック
1. 相手が何をすべきかすぐにわかるタイトルにする

内容や相手がすべきことが、受信トレイに表示された時点でわかるタイトルにしないといけません。そのためには、次の2つのテクニックを併用して使いましょう。
- 「〜について」を安易に締め括らない
- 【】(隅付き括弧)を有効に使う
多くの場合、これらのどれか1つではなく、3つを併用してタイトルを作成します。
「〜について」を安易に使わない
「〜について」という文言での締めくくりを乱用するのはやめましょう。絶対に使ってはいけないのではなく、最適なタイトルを考えることを放棄する手段として使っていることに問題があるのです。
次のタイトル例で考えてみましょう。

会場選定について、何だろう?
何か情報共有?回答を求められている?

意向を回答すればいいのね!
いかがでしょうか。悪い例の方ではただ何かを情報共有されただけなのか。何かを求められているのか、本文を読んでみないと分かりません。
多くのビジネスマンには、受信トレイにメールが何十通と溜まっていることも多いです。そんな中あなたから、パッと見てやるべきことがわからないメールを受け取ると、ストレスを感じてしまいます。読み手の負荷を軽減する工夫をこちらからしてあげましょう。
【】(隅付き括弧)を有効に使う
【】は、文字に装飾ができないメールでも語句を強調できる有効な手段です。【】を使うことには次のメリットがあります。
【】(隅付き括弧)を使うメリット
- 語句を強調することができる
- 文字数を削減できる
- 重要な単語を文頭に移動させられる
「〜確認してください」と書くよりも、「【ご確認依頼】〜」と書く方が、文字数が少なくて済みます。
メールタイトルは、一定の文字量(およそ30字)を超えると、それ以降の文字表示が省略されるケースが多いことは、みなさんご存知でしょう。特にスマホではもっと短くなります。
そこで、タイトルを短くすることと、重要な単語を前の方に持ってくることが重要となります。
次の例では、「日程調整」という相手にしてほしい動詞を文から切り離して単語として独立させ、前に移動させることにより、依頼するアクションがさらに伝わりやすくなります。
いかがでしょうか?メールにおいては、タイトルの付け方で読み手の負荷を大きく左右します。この2点を押さえて、相手が何をすべきかすぐにわかるタイトルにするというのを心がけましょう。
- 「〜について」を安易に締め括らない
- 【】(隅付き括弧)を有効に使う
2. 結論ファーストで書く

メールは結論を最初に書くことを癖づけましょう。
結論ファーストの書き方を意識することで、読み手は要点をすぐに理解でき、スムーズに対応できます。一方、前置きが長いメールは、読み手に負担をかけ、必要な情報を見落とされるリスクが高まります。
ビジネスメールでは、相手が限られた時間の中で複数のメールを処理していることを考慮する必要があります。そのため、「何を伝えたいのか」「何をしてほしいのか」を冒頭で明示することが重要です。結論が最初にあると、メールを開いた瞬間にそれが明確になり、読み手が適切に判断できます。
結論が分かりにくいメールでは、読み手が要点を探しながら読まなければなりません。その結果、返信が遅れたり、確認不足による認識のズレが生じる可能性があります。
結論ファーストのメールは、以下の構成を意識すると効果的です。
- 結論(最も伝えたいこと、依頼したいこと)
- 背景や理由(必要に応じて簡潔に説明)
- 相手への配慮など
この順番で書くことで、相手はまず重要な情報を把握し、その後の説明を補足情報として読むことができます。
具体例
具体的な例を見てみましょう。まずは悪い例からです。
いかがでしょうか。「日程調整の回答フォームに答えてほしい」という結論がなかなか出てきません。
読み手に、後から補足で付け足せばいい情報を、先にあれこれと浴びせてしまい、伝えたいことが不明確になってしまっています。これは、忙しい読み手にはストレスになってしまいます。
そこで、結論ファーストで修正した、良い例を見てみましょう。
いかがでしょうか?前半を読んだだけで、読み手がやるべきことがすぐにわかります。
このように、メールを書く際は、まず結論を伝え、その後に必要な補足を加えるようにしましょう。そうすることで、相手が素早く理解し、適切な対応を取ることができるようになります。
PREP法を準用しても良いが...
結論ファーストで文章を書く手法として、当ブログではPREP法を紹介しています。PREP法とは、次のような順序で文章を書く、文の"型"のひとつです。

これはメールの本文にも準用できますが、メールでは再結論(2つ目のP)は不要と考えてよいでしょう。
再結論がある理由は、比較的長い文章を読み手に読ませた場合、最初に述べた結論が忘れられ内容にするためです。メールでは、そこまで長い文章を書きませんし、書くべきでもありません。
再結論を書いた方がいいぐらいメール本文が長くなってしまったら、無駄な情報が混ざってないか確認する方がいいでしょう。つまり、メール本文は再結論が不要な程度の長さに留めましょう。
PREP法についてはこちらの記事で解説しています。

3. 一文を40〜60字以内にする

メールでは、一文一義を意識し、概ね40〜60字で区切ることが重要です。一つの文に複数の情報を詰め込むと、読み手は要点を理解しにくくなります。
適切な長さで区切ることで、文の構造が明確になり、論理の流れが整理されます。一文が長すぎると、読み返す手間が増え、誤解を招く可能性があります。
また、一文を短くすることで、視認性が向上し、読者の負担を軽減できます。適度なリズムで読める文章は、理解しやすく、記憶にも残りやすくなります。
特にビジネスメールは、他のビジネス文書よりも、短めに書く方ことをオススメします。理由は、報告書や提案書などと比べて、読む件数が多い傾向にあるからです。少しでも読み手の負担を減らしてあげましょう。
具体例
悪い例を見て読んでみましょう。
改善した例を読んでみましょう。
いかがでしょうか。かなり伝わりやすくなりました。
このように、一文一義を意識し、適切な長さで区切るだけで、メールの可読性は大きく向上します。読み手がスムーズに理解できる文章は、対応のスピードも上がり、やり取りの効率化につながります。
また、読み手の視点に立つことも重要です。短く区切られた文は、流し読みでも内容を把握しやすく、相手の負担を軽減できます。結果として、よりスムーズなコミュニケーションが実現できます。
メールを書く際は、一文の長さに注意し、伝わりやすさを最優先に考えましょう。それだけで、相手にとって「読みやすい」「分かりやすい」メールになります。
4. 120字前後で改行して区切る

文章は適切に改行により区切ることで視認性が向上し、読み手が内容を素早く理解しやすくなります。特に、120字前後で区切ることで、一文ごとの意味が明確になり、要点を捉えやすくなるのです。
また、特にメールでは、改行で文間にスペースを作ることには大きなメリットがあります。適度な余白があることで、文章の流れが整理され、必要な情報をすぐに見つけやすくなります。特に、長文のメールでは、段落ごとに空行を入れることで、重要なポイントを際立たせ、相手にストレスを与えずに伝えることができます。
そのため、Eメールを書く際は、冗長な表現を避け、簡潔に要点をまとめつつ、改行を活用して視認性を高めることが重要です。
- 一文ごとの意味が明確になり、要点を捉えやすくなる
- 改行で文間にスペースを作ることで、適度な余白が生まれる
具体例
まずは悪い例を見てみましょう。
改行がほとんどなく、意味の切れ目がどこにあるのかわかりません。何より、読み手の負荷が非常に大きくなる事が容易に想像がつきます。

受信トレイでメールをクリックしてこれが表示されると、気が滅入るわね。。
これを、120字前後で区切ることを意識し、改行を入れてくと視認性が改善され、読み手のストレスが軽減されます。
いかがでしょうか。かなり視認性が上がり、読み手のストレスを軽減できる見た目になりました。
このように、適切な改行と段落分けを行うことで、要点が整理され、読み手がスムーズに内容を把握しやすくなります。特にメールでは、一目で重要な情報を理解できる構成が求められます。
また、段落ごとに意味を明確に分けることで、相手が必要な部分だけを素早く確認できるようになります。加えて、余白を適度に入れることで、詰め込まれた文章による圧迫感を軽減し、より丁寧で伝わりやすい印象を与えます。
メールの本文は、単に情報を伝えるだけでなく、相手にとっての読みやすさを意識することが重要です。適切な改行と段落分けを心がけることで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。

読み手が息継ぎしながら読めるようにしよう!
メールでは、装飾を用いて行間を空けることができないから、改行によってスペースをつくる必要がある!
ちなみにこのブログでは、報告書や提案書など、メール以外の文章については、150字前後で区切ることを提唱しています。
しかし、メールにおいては、その使用頻度や慣習、使用される端末(モバイル端末でもかなり読まれる)ことを鑑み、さらに一塊の文字数を少なくすることをおすすめしています。その結果、ここでは120字前後で区切ることを提唱しています。
5. 箇条書きを有効に使う

箇条書きも、「一文は40〜60字以内にする」や「120字前後で改行して区切る」と同様に、視認性を向上させる手段のひとつです。
特に、複数の項目を列挙する際に有効で、読み手が必要な情報を一目で把握しやすくなります。
まずは、箇条書きを使うべきところで使わない、悪い例を見て読んでみましょう。
箇条書きを用いて改善した例を読んでみましょう。
いかがでしょうか。かなり視認性が向上し、ストレスなく情報を読み取れるようになりました。
注意点
箇条書きは非常に便利ですが、よくやってしまいがちな注意点があります。特に次のことは読みやすさに直結しますので、覚えておきましょう。
項目の個数は7つまで
一度に提示する項目は7つまでにし、7つを超える場合はさらに分類分けや階層化を行い、情報過多を避けましょう。人間の短期記憶の容量は一般的に7±2(ミラーの法則)とされており、それを超える情報が並ぶと、かえって情報を見落とす可能性が高まります。
正しく階層化する
箇条書きの各項目は、同じレベルの情報を並べることが原則です。例えば、「プロジェクトの進捗」「スケジュール」「課題」「予算」など異なる概念を同じ階層で並べると、論理構造が分かりにくくなります。
この例では、「進捗確認ミーティング」は「プロジェクトの進捗」の具体的な内容ですが、「予算の調整」と「クライアント対応」は「スケジュール」との関係性が不明確です。
主項目と副項目を正しく整理すると、このように何を並べているのかが一目でわかるようになります。
項目を長くしすぎない
項目の文字量が多すぎると、PCでは見やすくても、スマートフォンでは見にくくなることがあります。モバイル表示を考慮し、階層を増やしすぎないようにしましょう。
箇条書きを適切に活用することで、メールの視認性が向上し、読み手が要点を素早く理解できるようになります。一方で、使い方を誤ると逆に分かりにくくなることもあります。
要点を整理し、論理的に並べることで、スムーズなコミュニケーションが可能になります。メールを作成する際は、箇条書きを適切に取り入れ、相手にとって読みやすい文章を心がけましょう。
まとめ

ビジネスメールは、単なる情報伝達の手段ではなく、相手に正しく伝わり、スムーズな対応を促すための重要なツールです。
本記事では、誰でも論理的に書けるようになる5つのテクニックを紹介しました。改めてポイントを振り返りましょう。
- 相手が何をすべきかすぐにわかるタイトルにする
- 結論ファーストで書く
- 一文を40〜60字以内にする
- 120字前後で改行して区切る
- 箇条書きを有効に使う
1. 相手が何をすべきかすぐにわかるタイトルをつける
メールのタイトルは、開封しなくても内容が伝わるようにしましょう。「〜について」といった曖昧な表現は避け、具体的な行動を示す言葉を入れることが大切です。また、【】(隅付き括弧)を活用すると、視認性が向上し、受信トレイの一覧でも目立つようになります。
2. 結論ファーストで書く
メールの本文では、最初に「何を伝えたいのか」「何をしてほしいのか」を明記しましょう。前置きが長くなると、重要な内容が埋もれてしまい、相手の負担が増えてしまいます。結論を先に伝え、その後に背景や理由を補足することで、相手はスムーズに理解できるようになります。
3. 一文を40〜60字以内にする
一つの文章が長くなりすぎると、読みにくくなり、誤解を招くことがあります。40〜60字程度を目安に、一つの文には一つの意味を持たせるようにしましょう。冗長な表現を避け、簡潔に伝えることで、より分かりやすいメールになります。
4. 120字前後で改行して区切る
長い文章が続くと、視認性が悪くなり、内容が把握しづらくなります。120字前後で適度に改行を入れ、段落ごとに内容を整理するようにしましょう。特に、スマートフォンでメールを読むことが多いため、流し読みでも要点が伝わるように工夫することが大切です。
5. 箇条書きを有効に使う
複数の項目を列挙する場合は、文章で書き連ねるのではなく、箇条書きを活用しましょう。箇条書きを使うことで、情報が整理され、視認性が向上します。ただし、一度に示す項目は7つ以内に抑え、情報の分類を明確にするようにしましょう。
メールの質を上げて、仕事の効率を高めよう

ビジネスメールの書き方を工夫することで、相手にストレスを与えず、スムーズなやり取りができるようになります。これは、相手にとってだけでなく、自分自身の仕事の効率を高めることにもつながります。
今回紹介した5つのテクニックを意識して、日々のメールを改善していきましょう。最初は難しく感じるかもしれませんが、意識して書くことで、次第に習慣化されます。
明日からのメールを、より伝わりやすく、スムーズなものに変えていきましょう。